採用動画をつくりたいけれど、「社員に話してもらう」「仕事中の様子を撮る」以上の内容が決まらない。そんなときは、まず一つの職種で、応募前に分かりにくい仕事の場面を選びます。会社のすべてを一本で紹介するより、何を担当し、迷ったら誰に確かめる仕事なのかを伝える方が、構成の目的を決めやすくなります。

動画を置くだけで応募が増えるとは限りません。動画で理解したあと、現在の募集条件や応募方法を読める採用ページまでつなぐことが大切です。この記事は求人募集ではなく、企業や店舗が制作を相談する前の準備ガイドです。

1. 動画が必要か、文章と写真で足りるかを決める

職種名、勤務地、募集条件を知りたいだけなら、まず読みやすい文章を整えます。短時間で見比べたい情報を、動画を最後まで見ないと分からない形にする必要はありません。

  • 動画が候補になるもの:人と人の受け渡し、道具の扱い、確認する順番、説明の話し方など、動きや音に意味がある場面。
  • 写真が候補になるもの:設備、作業空間、手元など、止まった一場面と短い説明で理解できる内容。
  • 文章を優先するもの:現在の職種・条件・必要資格・応募方法、配属によって変わる内容。

「動画にする理由」を一文で書けなければ、採用ページの情報整理を先に進めても構いません。会社全体の事業紹介が必要なら、会社紹介動画の構成とは役割を分けて考えます。

2. 一つの疑問を、映像とWebの分担に変える

撮影候補に「楽しそうな職場」とだけ書くと、何を撮ればよいかが曖昧です。「最初は何を任されるのか」「分からないとき誰に聞けるのか」と、読み手の疑問に置き換えます。確認できる仕事と支え方から、見せる場面を選びます。

採用動画と採用ページをつなぐ準備メモ(仮の例)
応募前の疑問動画で見せる場面Webで確かめる情報社内の確認先
どこまで担当する?前後の工程から仕事を受け渡す様子職種別の担当範囲・配属による違い現場責任者
最初に何を覚える?実際に行う説明や確認の一場面現在の導入・教育の内容教える担当と採用担当
難しい場面は?確認してから次へ進む工程必要な経験・資格・仕事上の注意業務の責任者
次はどこを見る?該当する職種ページへの案内最新の募集状況・条件・応募方法採用とWebの更新担当

これは企画用の仮例で、実在の求人・研修制度・GRAVIの実績ではありません。美容室の準備から施術への引き継ぎ、専門事務所の資料確認、飲食・小売の時間帯交代、製造・建設・設備の工程確認など、実際の業務に置き換えます。制度がないのに撮影だけであるように見せることはしません。

3. 難しさは、困る場面と確かめ方をセットで伝える

良い場面だけを並べると、実際の働き方を判断しづらくなります。忙しい時間帯や細かな確認が必要な工程は、負担だけを強調せず、何に注意し、誰とどう連携するかまで伝えます。

社員の言葉も「成長できます」で終わらせず、実際に担当した仕事と、そのとき受けた説明を聞きます。制度や働き方が人によって違う場合は、その条件を採用ページで補います。取材と編集の具体的な質問はインタビューの聞き下げ方へ。言っていない経験や成果を、字幕やナレーションで足さないでください。

4. 撮れない場面の代案を、撮影前に用意する

顔、顧客、書類、図面、端末画面、取引先名は、公開条件が確認できるまで撮影・掲載の対象にしません。顔なしでも声・制服・背景から本人が分かる場合があります。出演者と場所の確認先に、使う媒体と範囲を伝えます。

  • 顔出しが難しい:許可を得た手元・後ろ姿・道具と、確認済みの文章で組み立てる。
  • 業務資料を出せない:機密や個人情報のない説明用見本を使い、実際の顧客資料と誤認させない。
  • 作業を撮ると危険:作業を再現させず、安全な場所で責任者が工程を説明する。
  • 一日を追えない:撮れた工程だけを扱い、通常の一日全体を示すように編集しない。

同じ順番で毎日働くとは限りません。撮影した日や配属で異なる部分は説明を添えます。演出のために安全や現場の進行を変えることより、見せられる範囲で正しく伝えることを優先します。

5. 字幕と募集条件は、撮影後ではなく企画で決める

W3Cのガイドは、字幕や文字による説明を制作計画に含めることを案内しています。話している内容を伝える字幕と、映像の重要な場面を文章で補う説明を準備し、音を出せない人や映像だけでは内容を受け取りづらい人にも判断材料を残します。自動字幕は、名前、道具の名称、否定表現などを音声と照合して修正します。

給与や勤務条件を動画の中だけに固定すると、変更時に取り残されることがあります。最新情報を採用ページで読めるようにし、動画に入れる条件は更新方法まで決めます。厚生労働省の募集ルール資料でも、求人情報の正確さ・最新性と誤解を生じさせない表示が案内されています。詳しい適用や募集要項は、自社の採用担当が現行情報を確認してください。

参考(2026年10月14日確認):W3C:音声・動画の制作計画/W3C:字幕と自動字幕の確認/厚生労働省:労働者の募集ルール。

6. 公開場所と、変わったときの直し方を決める

動画の近くに、対象の職種、何が分かる動画か、条件を読むリンクを置きます。最初の画面で自動再生させることより、必要な人が選んで見られることを考えます。視聴しなくても職種の条件と応募方法を読める状態を残します。

掲載と引き継ぎのメモ

  1. 動画を置くページと、読んでほしい職種ページのURL
  2. 映像で説明する仕事と、文章で補う条件
  3. 確認した撮影内容・字幕・掲載許可の記録
  4. 条件変更・募集終了・出演者の状況変更を確認する担当
  5. 動画を直すか、外すか、案内を変えるかの判断先

公開前はスマホで、画像の読み込み、再生・停止、字幕、職種ページと応募方法への移動を確かめます。実際の応募は送らず、担当者と確認範囲を決めてテストします。閲覧や応募ボタンのクリックは応募完了ではなく、実際に受け付けた応募と分けて振り返ります。

まずは一職種、一つの疑問から

「この仕事で何が分かりにくいか」を一つ書き、その答えを映像で見せる意味があるか確かめてください。職種、疑問、掲載ページ、撮影できる範囲、社内の確認担当があれば、必要な取材・撮影・ページ改善を相談する出発点になります。応募者の個人情報や未許可の映像を送る必要はありません。

採用ページ・採用サイト制作と採用写真・動画をつなぎ、会社の姿勢と言葉の整理も合わせて考えられます。業種ごとの入口は業種に合わせた伝え方へ。費用や撮影範囲は、実際の内容と条件を確認して決めます。