会社紹介動画をつくろうとすると、外観、仕事中の様子、インタビュー、商品など、撮りたいものが次々に出てきます。しかし、全部を並べても、初めて見る人には「何をしている会社で、自分とどう関係するのか」が残らないことがあります。
大切なのは、撮影リストを先に埋めることではありません。誰に見てもらい、何を理解してもらい、見たあとにどこへ進んでほしいかを決めることです。そこから、伝わる順番に場面を置いていきます。
画面に入れる言葉を検討中の方は、字幕・テロップ・文字起こしの使い分けもご覧ください。音声の伝え方と、公開前に確認することを整理しています。
1. 最初に決めるのは、動画の長さより「誰の疑問か」
同じ会社でも、取引を検討する人、初めて来店する人、応募を考える人では、知りたい内容が違います。一本の動画ですべてに答えようとせず、まず中心となる視聴者を一人決めます。
たとえば新しい取引先へ見せるなら、「何を頼めるか」「どこまで担当するか」「仕事をどう確かめているか」が候補です。来店前の方なら、「どんな空間か」「利用はどう進むか」「何を相談できるか」。採用向けなら、仕事内容と支え方を整理する記事のように、応募前の疑問から考えます。
用途が決まると、動画の最後も決めやすくなります。サービスの詳しいページへ進んでもらうのか、相談窓口を案内するのか、会社について知ってもらうだけでよいのか。次の行き先までが構成です。
2. 場面は「理解・納得・次の行動」の3段階で並べる
理解:何の会社・お店なのか
最初は、視聴者が自分に関係する内容だと分かる場面です。商品だけでなく、仕事をしている場所、サービスが使われる状況、誰のどんな悩みに向き合うのかを、短い言葉と映像で示します。
納得:何を大切にしているのか
次に、完成形だけでは見えない過程を置きます。説明をする、素材を選ぶ、確認する、整える。普段の行動に仕事への姿勢が表れます。「丁寧です」と言い切る代わりに、実際に何を確かめているかを見せる考え方です。
次の行動:どこで詳しく分かるのか
最後は、動画だけで説明しきろうとしません。対応範囲、料金、利用条件などは、更新しやすいWebページで確認してもらう方法もあります。映像を見たあとに、サービス紹介・採用情報・問い合わせのどこへ進むかを決めます。
3. 業種ごとに、動きで伝えられることを探す
以下は場面を考えるための企画例です。GRAVIの制作実績や、各事業者の実際の提供内容を示すものではありません。自社の実態、撮影できる場所、掲載許可に合わせて選んでください。
美容室・理容室
受付から相談、道具の準備、施術後の案内までをつなぐと、初めての方が利用の流れを想像できます。お客様やスタッフの顔を出さない場合は、空間、手元、後ろ姿でも構成できます。出演と公開の許可は、撮影前に個別に確認します。
美容・エステ・ネイルサロン
空間の印象だけでなく、説明、準備、片付けなどの流れも候補です。映像の雰囲気から施術効果が保証されるような見せ方は避け、実際のサービス内容と利用条件を文章で補います。
税理士などの士業・専門サービス
相談の入口、説明に使う見本、依頼後の進め方を場面にします。実際の顧客情報や書類は使わず、撮影用の資料を用意します。専門用語を並べるより、どんな相談をどう整理するのかが見えると、話しかけやすさにつながります。
飲食店・小売店
材料や商品の準備、提供、包装、店内で過ごす時間などをつなぎます。何を選べるか、予約や注文はどう進むかをWebの案内と組み合わせます。季節商品や現在は提供していない内容を、通常の商品として見せないように確認します。
製造業・ものづくり
素材、加工、検査、完成の順番が、仕事を理解する手がかりになります。自社が担当する工程と、公開できる技術情報を分けます。取引先名、図面、画面、識別番号など、機密情報が映り込まない撮影範囲を事前に決めます。
建設・設備工事
作業の前、途中の確認、完成後をつなぐと、仕上がりだけでは見えない仕事を説明できます。撮影のために作業を再現せず、安全、現場の進行、施設や関係者の許可を優先します。自社の担当範囲も映像や説明文で明確にします。
4. 一枚で共有できる「動画の構成メモ」
撮影する人、出演する人、Web担当者が同じ目的を見られるように、場面ごとに次の項目を揃えます。決まっていない欄は無理に埋めず、「相談して決める」と残します。
| 整理すること | 書き方の例 |
|---|---|
| 視聴者の疑問 | 初めてでも、相談したい内容を整理してもらえるだろうか。 |
| 見せる場面 | 資料を並べ、依頼内容を一緒に確認している手元。 |
| 添える言葉・音 | 相談で確認する項目を短いテロップで示す。話し声の字幕や現場の音の扱いも相談。 |
| 次の場面 | 確認した内容をもとに、提案を整理する場面へつなぐ。 |
| 掲載場所 | サービスページ。詳しい対応範囲から相談ページへ案内。 |
| 撮影・公開の確認 | 出演者、場所、資料、音楽、掲載する媒体と期間を確認。 |
この例は、相談用の整理方法です。実際のお客様の相談風景やGRAVIの制作事例を示すものではありません。撮影後に説明を作るのではなく、何を伝える場面かを先に決めることで、不要な撮影と説明不足の両方を減らせます。
5. インタビューは、文章を暗記する前に3つの質問を決める
長い原稿を覚えると、普段の言葉が出にくくなることがあります。まず「誰の、どんな相談に応えているか」「仕事で必ず確認していること」「見た人に次に知ってほしいこと」の三つを整理します。
話した内容がそのまま事実として公開できるとは限りません。資格、対応地域、実績、数値、提供条件などは、編集前に根拠と現在の内容を確認します。言い間違いを整えることと、実際より大きく見せることは別です。
6. 一本をどこで使うか、撮影前に決めておく
ホームページの冒頭で短く見せる映像、サービス説明の途中で工程を伝える映像、商談で会社全体を紹介する映像では、必要な長さと画面の使い方が異なります。横長・縦長、字幕の有無、音を出せない環境、静止画として切り出す可能性も相談材料です。
一度の撮影で複数の用途に必ず対応できるわけではありません。必要な場面、編集本数、画角、音声、公開先によって範囲は変わるため、撮影前に見積りと担当範囲を確認します。
構成メモから、撮影する場面を決める
伝えたいことが決まったら、映像、話す内容、画面に出す説明を一組にしてみましょう。文章だけ先に長くつくると、それを裏づける場面が撮れないことがあります。反対に、映像だけを集めると、何を伝える動画なのかが曖昧になることもあります。
一場面につき、伝えることを一つにする
たとえば「商品を選ぶときの相談方法」を伝えるなら、見本を並べて比べる映像、選び方について話す言葉、相談で確かめる項目の短い表示を組み合わせる案があります。これは企画の例です。実際の手順と公開できる見本を確認し、サービスの範囲を超える説明にならないようにします。
- 伝えること:その場面で分かってほしい内容。
- 映像:何を、どの動きで見せるか。
- 音声:その場面で話すこと、必要な説明。
- 画面の言葉:音がなくても理解に必要な情報。
- 準備:道具、場所、出演者、掲載可否の確認。
字幕・テロップ・文字起こしは、役割を分ける
動画に文字が入っていても、話している内容がすべて伝わるとは限りません。ここでは、要点を強調する表示を「テロップ」、話し声や理解に必要な音を映像のタイミングに合わせて示すものを「字幕」と分けて考えます。呼び方だけで発注せず、何を文字で伝えるかまで共有しましょう。
| 用意するもの | 役割と、確認すること |
|---|---|
| 要点を見せるテロップ | 章の見出しや仕事の特徴を短く示す表示。話の一部を取り出すため、これだけで音声全体を伝えられるとは限りません。 |
| 音声を伝える字幕 | 発言に加え、理解に必要な音や話者の情報も、該当する場面に合わせて示します。言葉の正確さと表示のタイミングを確認します。 |
| 文字起こし・映像の説明 | 動画を再生せず文章で内容を確認するためのもの。音声の内容に、必要に応じて映像でしか分からない情報も補います。短い紹介文とは区別します。 |
字幕の役割はW3Cの字幕ガイド、文字で内容を確認する方法はW3Cの文字起こしガイドで詳しく説明されています。ページに説明文を置くことと、動画を見ながら読める字幕を用意することは別の作業です。
短くしても、条件は落とさない
たとえば「素材により対応方法が変わります」という発言に、「対応できます」というテロップだけを添えると、受け取る意味が変わります。字幕では発言の条件を伝え、要点のテロップなら「素材を確認して方法を検討」など、前提が残る表現を考えます。これは説明のための仮の例で、GRAVIや特定の事業者の提供内容を示すものではありません。
自動字幕も、担当者が音声と照らし合わせる
自動で作った字幕を使う場合も、そのまま公開せず、人名・商品名・数字・否定の言葉・対応条件を確認します。聞き取れない箇所を想像で埋めず、話した本人に確かめます。映像を短く編集したら、字幕の内容と表示のタイミングも合わせて見直しましょう。
- スマートフォンの実際の表示サイズで、文字を追えるか。背景に埋もれたり、手元や商品説明を隠したりしないか。
- 音を消して見たとき、話者の区別や理解に必要な音の情報が抜けていないか。
- 完成した映像と字幕を、発言や商品・サービスの条件を確認できる人が一緒に見たか。
制作前のメモには「使うページ」「文字で伝える内容」「言葉の確認担当」「確認する動画の版」を残しておくと、途中の原稿と完成版の取り違えを防ぎやすくなります。GRAVIへのご相談でも、強調したい言葉だけでなく、正確に残したい条件をお聞かせください。
撮れない場面には、先に代わりの説明を考える
顧客情報や非公開の工程を含む場面なら、実際の資料をそのまま写す必要はありません。公開できる見本で説明する、図や文章で補う、別の場面を選ぶなど、伝えたい内容から代案を検討します。再現した場面は記録映像や実績と混同されない説明にします。
撮影前にこのメモを共有すると、必要な場面とまだ決まっていない説明を話し合えます。会社紹介動画の見せ方を相談する際は、完成した台本がなくても、伝えたいことと撮影できそうな場面をお聞かせください。
インタビューの答えが抽象的なときは、場面を聞く
「丁寧な仕事を大切にしています」という答えは、話の入口になります。その先に、実際の仕事を思い浮かべられる一場面があると、映像と言葉を組み合わせやすくなります。立派な話を引き出そうとするより、本人が説明できる経験から聞いてみましょう。
「最近、どんな場面でそうしましたか」
商品を確認したとき、相談内容を整理したとき、説明をし直したとき。最近の具体的な場面を一つ選びます。顧客名や非公開の取引内容は話さずに、何を確かめ、どう判断したのかを聞きます。公開できる内容かどうかの確認は、撮影とは別に行います。
「そのとき、何を見て判断しましたか」
行動だけでなく、判断の基準を尋ねます。たとえば「使う場面を聞き直した」「見本の違いを並べて説明した」と分かれば、説明する道具や手元の映像を検討できます。これは聞き方の例であり、GRAVIや特定の事業者の実績を示すものではありません。
「いつも同じ対応ですか。条件はありますか」
一つの経験を、すべての依頼に共通する約束として見せないようにします。対応内容が状況によって変わるなら、その条件を確認します。短く編集するときも、必要な前提を削って、意味の違う言葉にしないことが大切です。
編集する言葉を、本人と確認する
話した順番を整える場合は、どの意味を残したかを確認します。聞き取りにくい箇所は想像で補わず、本人に聞き直します。字幕、紹介文、映像の組み合わせによって、発言以上の成果や対応を約束しているように見えないかも確かめましょう。
撮影前のメモには「話す場面」「説明できる行動」「判断した理由」「公開を避ける情報」「確認する人」を書きます。答えがまとまらない場合も、質問を見ながら箇条書きにするところから始められます。
GRAVIでは、事業の姿勢を、その人の言葉と実際の仕事に合う表現で伝えたいと考えています。会社紹介動画のご相談では、「何を話せばいいか分からない」という段階から、伝えたい相手や場面をお聞かせください。
撮影前の最終チェック
- 中心となる視聴者と、見たあとに進んでほしいページが決まっているか。
- 各場面が、視聴者のどの疑問に答えるか説明できるか。
- 出演者、場所、資料、商品、音楽などの撮影・掲載条件を確認したか。
- 個人情報、機密情報、許可のない顔や作品が映り込まないか。
- 実際の担当範囲、提供内容、現在の状態と説明が一致しているか。
- 音声を伝える字幕と、要点のテロップを分けて確認したか。ページの説明文も完成した映像と一致しているか。
写真を準備する記事では、一枚ごとの役割と素材の棚卸しを整理しています。動画と写真を別々に増やすのではなく、Webページの中で何を担うかを分けて考えると、必要な素材が見えやすくなります。
GRAVIでは、まだ形になっていないイメージから、誰に何を届けるかを一緒に整理します。撮りたい場面が決まっていない段階でも、用途・手元の素材・公開できないものからご相談いただけます。
